中級へ行こう 第1課:ファストフード

B!

使用教材

準備物

絵カード
[本文]
ファストフード / ハンバーガー / フライドポテト / スープ / カロリー / 表示する / 体重
[単語・文型練習]
食パン / 焼き鳥 / 回転ずし / 期間限定 / 健康グッズ

「フライドポテト」は和製英語なので、海外の日本語学校では知らない学生もいるかもしれません。「体重」は漢字がわかれば意味を推測できるでしょう。



本文(語彙・文法・読解)

1. 話しましょう

ここでは、第1課のテーマである、ファストフードについて会話をしながら、未習の語彙を導入したり、本文を読むにあたって手助けとなる情報を学習者に与えていく。

  「話しましょう」の中で全ての言葉を導入するのは時間が足りないし、難しいのと思うのでキーワードとなる言葉を導入したり、事前に単語リストを配っておくなどして、時間短縮すると良い。

1ウォーミングアップ

T:(ハンバーガーの写真を見せて)これは何ですか。
S:ハンバーガーです。
T:そうですね。じゃあ、これは?
S:フライス?
T:これはフライドポテトです。みなさん、ハンバーガー、フライドポテトが好きですか?
S:はい、大好きです。
T:どうして、好きですか。
S:安いし、美味しいからです。
T:そうですか。じゃあ、どこで売っていますか?
S:マクドナルド、ロッテリア、モスバーガー。
T:そうですね。じゃあ、マクドナルドとレストランは何が違いますか。
S:マクドナルドは早いです。
T:そうですね。早いですね。注文してから、すぐに食べられますね。注文して、すぐに食べられる食べ物やすぐに料理できる食べ物を「ファストフード」といいます。

T:じゃあ、日本にはどんなファストフードがありますか。
S:えーっと。
T:(写真を見せて)これです。
S:あ、牛丼ですか。
T:そうですね。牛丼です。他にも、うどんやそばがあります。

2質問1:あなたの国にはどんなファストフードがありますか。

T:じゃあ、みなさんの国にはどんなファストフードがありますか。教えてください。
S:(それぞれ答える。)
T:へぇ、それはどんな料理ですか。
S:とても辛いですが、美味しいです。

3質問2:ファストフードについてどう思いますか。いい点、わるい点を書きましょう。

T:色々なファストフードがありますね。じゃあ、みなさん、ファストフードについてどう思いますか。ファストフードは何がいいですか?何が悪いですか?ノートに書いてください。
S:(ノートに書く)
T:書けましたか。じゃあ、何がいいですか。何が悪いですか。教えてください。
S:(意見を言う)

メモ
Sの意見を板書し、出た意見について話し合う。
(例) 値段が安い → レストランと比べてどのぐらい安いのか。
いい点の例 わるい点の例
値段が安い カロリーが高い
すぐに食べられる 健康によくない
美味しい 美味しくない
手軽に利用できる 時々、少し冷たい

T:昔はハンバーガーやポテトしか増えました。
T:でも今は、スープやフライドチキンなど色々な種類がありますね。
T:ハンバーガー、フライドポテト、スープ、サラダ、たくさん種類が増えました。どうして増えましたと思いますか。
S:楽しむため?
T:さぁ、どうしてでしょうか。後で、文章を読みましょう。

2. 本文のCDを聞く

全体の概要をつかむ練習。未修語彙や文型があっても事前に教えない。

本書には各課に2つの音声(遅いバージョンと速いバージョン)が収録されているので、ここでは遅いバージョンを聞かせる。

聞いた後は、どんな内容だったのか、わかったことを答えてもらう。

3. ことばの練習

媒介語で未習の語彙を紹介 or 事前に宿題として意味を調べさせる。
それぞれの単語をリピート、意味を確認した後、教科書の「ことばの練習」を実施する。

単語 意味
代表的な typical / representative
最近 recently
種類 kind
〜兆円 ~ trillion yen
理由 reason
値段 price
手軽に
(×この宿題は手軽だ。)
easily / simply
利用する to use
しかし but
このような this type of
カロリー calorie
生活習慣病
(高血圧、肥満、糖尿病など)
lifestyle - related disease
(high blood pressure /obesity/diabetes)
増える to increase
表示する to indicate
体重 body weight
適当な suitable / proper
メモ:「使う」と「利用する」の違い
[使う]
・本来の目的、特定の目的で使う際に用いる。
[利用]
・利益になるように用いる。
・本来の目的以外え使う場合に用いる
(例)箸を利用して、魚の骨を取る。→食べる時、フォーク、ナイフを使っているが、骨を取るために箸を使う



4. 本文読解

1ウォーミングアップ

本を読む前に、まず、QAの内容を確認する。

T:教科書のQAを見てください。問題は3つあります。文章の質問です。みなさんにはこれから文章を読んで、答えを考えてもらいます。

T:ではS1さん、Q1を読んでください。
S1:読む。

T:S2さん、Q2を読んでください。
S2:読む。

T:S3さん、Q3を読んでください。
S3:読む。

2本文を読む
メモ
やり方は色々ある。学習者のレベルによって調整する。
・Tが読む(範読)→Sが読む(黙読)
・最初からSが読む(黙読)

T:最初に私が文章を読みますから、みなさんは聞いてください。そしてどんな話か考えてください。私が読んだ後、みなさんが文章を読んで答えを考えます。
(教師が文章を全て読む:範読)

T:はい、今からみなさんに文章を読んでもらいます。一人で声に出さないで読んでください。文章を読みながら質問の答えを考えて、書いてください。
(わからない言葉があっても、辞書は使わないで頑張って読みましょう)
S:(個々で黙読し、質問の答えを考えて書く)
T:(机間巡視)

3ペアで答えを確認
メモ
文章は短く、難しいものではないので、スキップしても良い。

T:では、読めましたか?みなさん、どんな話かわかりましたか?S1さんどうですか?
S1:わかりました。
T:S2さんどうですか?
S2:あまりわかりませんでした。
T:そうですか。どんなところが難しかったですか。
S2:時間が足りなかった。単語が難しかったなど。
T:そうですか。まだ、全部できていない人もいるかもしれませんが、グループで答えを考えましょう。じゃあ、これからペアを作ります。S1さんとS2さん、S3さんとS4さん、S5さんとS6さんがペアです。
S:(席を移動する)
T:じゃあ、グループの人と一緒に、どんな話だったか話してください。その後、質問の答えを相談してください。答えが同じじゃない時は、ペアで相談して答えを考えてください。
S:(ペアで答えを検討する)

4答えの確認

T:それでは、一緒に答えを確認しましょう。

Sに質問文を読ませ、答えを確認する。

5本文理解・学習者の国との比較

読解後にもう少し詳しく、本文の内容をチェックしたり、学習者の国ではどうか確認したりする。

質問例
①最近は、牛丼、スープなど種類が増えています。
→皆さんの国ではどうですか。
②日本人は1年間に3兆円もファストフードにお金を使っています。
→多いと思いますか。
→みなさんの国でも、ファストフードにお金を使っていると思いますか。どうしてですか。
③理由は値段が安いこと、手軽に利用できること、時間がかからないこと、店は明るくて入りやすいことなどです。
→皆さんがファストフードを利用する理由はなんですか。
④生活習慣病が増え始めた原因の一つだと言われています。
→皆さんの国では生活習慣病は増えていますか。どうしてですか。
⑤カロリーが低いメニューを増やしたり、カロリーを表示したりする店が増えています。
→皆さんの国ではどうですか。



5. 新しい文型

T:じゃあ、次に新しい文型を4つ勉強しましょう。

メモ
本文をもう一度読ませて、文脈から意味を推測させてもよい。

(1) N1といえば、N2だ

[意味]
N1の代表的な例N2を表す。
・N2は、N1と聞いて、すぐに連想できる物や事柄。
・話題の提供や、話の切り替え時に使用されることが多い。
[英訳]
When it comes to N1, N2 is....
(This phrase is used to show N2 as a typical example of N1)
[例文]
・代表的なファストフードといえば、ハンバーガーです。
・日本の伝統的なスポーツといえば、相撲だ。
・世界でよく食べられている物といえば、米です。
・日本の伝統的な夏の行事といえば、花火大会です。
・日本の食べ物といえば、寿司でしょうか。
・京都と言えば、お寺が有名です。
・Appleといえば、i-phoneで有名な会社です。

①導入
T:(日本の伝統的なスポーツと板書して)みなさん、「日本の伝統的なスポーツ」をちょっと想像してくださ。(考えてください。)
T:「日本の代表的なスポーツ」と聞いて、みんなが想像するものは何ですか。
S:相撲、柔道。など。
T:サッカーは?
S:サッカーは日本のスポーツじゃありません。
T:バレーボールは?
S:バレーボールも違います。
T:はい。皆さんは、今、「日本の伝統的なスポーツ」と聞いて、みんなが想像するスポーツは「柔道」や「相撲」でした。
S:はい。
T:サッカーやバレーボールじゃないですね。
S:はい。
T:「日本語の伝統的なスポーツ」と聞いて、みんなが想像するスポーツは「柔道」や「相撲」です。
T:新しい言い方を覚えましょう。
T:日本の伝統的なスポーツと言えば、相撲や柔道です。

板書
日本の伝統的なスポーツといえば相撲や柔道です
N1                                               N2(N2はN1の代表的な例です。)

T:N1とえばN2です。
T:N1と聞いて、みんなが想像するものはN2です、と言いたい時に使います。

T:じゃあ、日本語の初級の教科書と聞いて、みんなが想像する教科書は何ですか。
S1:「みんなの日本語」
S2:「げんき」
T:そうですね。(小学校の国語1の本を見せて)国語1じゃないですよね。
T:初級の日本語の教科書と聞いて、みんなが想像する教科書は「みんなの日本語」です。
T:新しい文型で言ってみましょう。
S:初級の日本語の教科書といえば、みんなの日本語です。

②基本練習:結合練習
教科書では3問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

③応用練習
教科書では4問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

④短作文
「代表的な・伝統的な・最も知られている」物/人/場所/祭りをテーマに短い作文を書かせる。

 短作文は時間がなければスキップ or 宿題とする。

⑤Q&A(追加練習)
・日本の伝統的なスポーツと言えば何ですか。
・日本の料理と言えば、何ですか。
・日本で一番寒い場所といえば、どこですか。
・世界で一番、大きい国と言えば、どこですか。(答えはロシア)
・世界で一番、人口が多い国と言えば、どこですか。(答えは中国)
・京都といえば、何が有名ですか。
・日本の春といえば、何ですか?
・(学習者の国の)代表的な料理と言えば、何ですか。
・(学習者の国で)代表的な乗り物と言えば、何ですか。
・(学習者の国で)人気がある果物と言えば、何ですか・
・(学習者の国で)人気があるスポーツと言えば、何ですか。
・(学習者の国で)人気があるアニメと言えば、何ですか。
・(学習者の国で)一番、有名な人と言えば、誰ですか。
・(学習者の国で)一番、外国人に人気がある所と言えば、どこですか。

単語 意味
最も most
非常に very, extremely
観光客 tourist

(2) 〜も

[意味]
・数量を表す語と共に使われ、数量が多い(大きい)ことを評価する。
[英訳]
as many as, as much as(This phrase emphasizes the quantity.)

①導入
T:私の友達は猫が好きです。(写真を見せて)これは私の友達の猫です。1、2、3、4、5、6・・・。15匹います。多いですか。
S:はい、とても多いです。
T:とても多いですね。驚きましたか。
S:はい。
T:私の友達は猫を15匹も飼っています。

T:トムさんはカメラが好きです。たくさん持っています。見てください。カメラが1、2、3、4、5、6、7。7台あります。多いですね。
S:はい、とても多いです。
T:トムさんはカメラを7台?
S:7台も持っています。

板書

トムさんはカメラを7台も持っています。

_________は  numberも  V。
も = as many as

T:数字+もは、とても多くて驚いた時やすごいと思った時に使います。

②基本練習
助数詞を選択肢の中から選ばせる。

③応用練習
・意味を確認しながら、下線部に入る言葉を記入する。
・全体で音読したり、AとBのパートに分けて音読をする。

④短作文
お金の使い方をテーマに「〜も」を使って短い作文を書かせる。

単語 意味
食パン bread
焼き鳥 grilled chicken on a skewer
回転ずし conveyor-belt sushi
大好きな favorite
一度に at one time
あっという間に in an instant
期間限定 limited time offer
中学2年生 second-year junior high school
もったいない wasteful
無駄遣い wasting money

(3) Nは〜こと、〜ことだ

[意味]
理由・原因などを列挙する。・普段の会話より改まった言い方で、発表などで使われる。
[英訳]
N is because 〜, (and) ~(Used to show the reason, cause, etc.)

①導入
T:2017年に日本に来た外国人は、何人ぐらいか知っていますか?
S:知りません。
T:2869万人です。
S:多いですね。
T:2016年も2400万人ぐらいで、2015年は2000万人ぐらいです。
S:増えてますね。
T:そうですね。毎年、増えています。どうしてだと思いますか。
S:う〜ん、飛行機が安いからですか?
T:そうですね。ジェットスタートや、エアアジアなど、LCCが増えました。
S:LCC?
T:LCCは飛行機のチケットが安い会社です。でも、食べ物やチェックインバッグはオプションです。
T:それから、ビザを取らなくても日本に来られる国が増えました。例えば、マレーシア人は日本に来る時、ビザが必要でしたが、今はビザがなくても日本に旅行に来られます。

板書

(板書)
毎年、日本に来る外国人が増えています。

どうして?
理由①:LCCは増えた。
理由②:ビザがなくても日本に来られる国が増えた。

T:毎年、日本に来る外国人が増えています。理由は(板書を指しながら)LCCが増えたこと、ビザがなくても日本に来られる国が増えたことです。

板書

毎年、日本に来る外国人が増えています。理由はLCCが増えたこと、ビザがなくても日本に来られる国が増えたことです。

T:理由や原因をいくつか言う時に「〜こと、〜ことだ。」の文型を使います。話すときはあまり使いません。レポートや発表で使われます。

②基本練習
絵と理由を見て文を見せて、文を作られせる。

(4)V始める / V終わる

[意味]
・動作のできごとの開始や終了を表す。
[英訳]
start to V, finish Ving
(There expressions are used to show when an action or event begins or ends)
[例文]
先週から犬を飼い始める。春が来て、桜が咲き始めました。
秋が来て、葉が赤くなり始めました。
健康のために、サプリメントを飲み始めました。
先週から、この会社で働き始めました。
授業が終わって、学生が帰り始めました。この映画を見終わったら、寝ます。
ご飯を食べ終わったら、お皿を洗います。
昨日買った本を、今日読み終わりました。
パソコンを使い終わったら、シャットダウンしてください。

①導入
[V始める]

T:もうすぐ、春ですね。
S:はい。
T:春が来ると、どうなりますか。
S:桜が咲きます。
T:そうですね。今、どうですか?桜が咲いていますか?
S:少しだけ、咲いています。
T:少しだけ咲いていますね。これから、たくさん咲きますね。
T:桜が咲き始めました。

T:先週、私は犬を飼いました。これです。
S:かわいいですね。
T:はい、とてもかわいいです。
T:先週に犬を飼いました。私と犬の生活が始まりました。
T:私は犬を飼い始めました。

板書
桜がさき始めました。
犬をかい始めました。

T:桜が咲きます。始まります。桜が咲き始めます。犬を飼います。犬と私の生活が始まります。犬を飼い始めます。です。

T:始めますの前は何形ですか。
S:ます形です。

[V終わる]

T:私は先週、本を買いました。先週から、毎日この本を読んでいます。昨日、全部読みました。終わりました。本を読み終わりました。

T:S1さんは今、JLPT N3の勉強をしていますね。
S1:はい。
T:JLPT N3の勉強をします。文法、単語、全部勉強します。終わります。何をしますか。
S1:JLPT N2の勉強をします。
T:S1さんはJLPT N3を勉強し終わったら、JLPT N2を勉強します。

板書
本を読み終わりました。
JLPT N3を勉強し終わったら、JLPT N2を勉強します。

T:本を読みます。終わります。本を読み終わります。JLPT N3を勉強します。終わります。JLPT N3を勉強し終わります。です。
T:終わりますの前は何形ですか。
S:ます形です。

②形の確認(追加練習)
文字カードを見せて、「V始める」、「V終わる」で答えさせる。

動詞の例
読む、働く、話す、飲む、食べる、勉強する、書く、泳ぐ、使う、休む、教える、歌う、掃除する、踊る、探す、アイロンをかける、お湯を沸かす、髪をとかす、混む、考える、紹介する、運ぶ、世話をする

③基本練習:変換練習
教科書では3問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

④応用練習:文作り
教科書では2問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

単語 意味
健康グッズ health and fitness goods
数年前 several years ago



リスニングや作文など

1. チェックシート

2択問題。3〜5分程度で解かせて、答え合わせをする。時間がなければ宿題にしても良い。

単語 意味
サムライ samurai
作品 work of art

2. 聴解タスクシート

CDを聞きながら、空欄の部分を記入させる。

CDにはゆっくりしたスピードとナチュラルスピードが録音されているので、学習者のレベルに応じて選択すると良い。ゆっくりスピードでも生徒が聞き取れなければ、教師がもっとゆっくりしたスピードで読むと良いだろう。

3. シャドーイング

これは教科書にはないタスクだが、時間があれば実施する。

4. 作文

できる限り時間内に書かせて提出させる。

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