初級の文型を全部学習し終えても、うまく日本語を話せない学生は少なからずいますよね。
特に学生に多い悩みは「いつ、その文法を使うのかわからない」、「その場面で使うべき日本語がわからない」などではないでしょうか。
そこで必要になってくるのが場面を設定した会話トレーニングなのですが、いろいろな会話教材が出版されているので、どれを使えばいいのか迷ってしまいますよね。
そんな人におすすめなのが、こちらの「会話に挑戦!中級前期からの日本語ロールプレイ」という本です。
今回は会話練習にオススメのこちらの本を紹介したいと思います。
「会話に挑戦!中級前期からの日本語ロールプレイ」ってどんな本?
本のタイトルにあるように中級前期や初級が一通り終わった学生、かつ、会話が上手にできない学習者を対象にしています。
トピックは22あり、各場面でどんな言葉や表現を使えば良いのか、ロールプレイを通して学びます。
この教科書の良い点は、「まずは自分でやってみる」→「会話例を紹介」という流れになっている点で、学習者は先に学ぶのではなく、既に勉強した日本語を使ったどんな表現や言葉を選んで会話すれば良いかを考え話さなければいけません。
本書の内容
こちらが本書で登場する内容です。
目次を見ればわかる通り、「自己紹介」に始まり、「先生を飲み会に誘う」や「誘いを断る」、「医者に症状を説明する」など生活で必要かつ役に立つトピックがたくさんあります。
各トピックの構成は下の写真のように、まず「目的(Can - do)」が提示されていて、「ウォームアップ」でトピックについて話し合い、それから実際にロールプレイに挑戦します。
そして、ロールプレイが終わった後に、「自分が言いたいことを話せたか」、「他の人の発表を見たり聞いたりして気づいた点は何か」などを話し合い、下の写真のように会話例を見ながら、どういった表現を使っているのかを学びます。
そして表現や言葉を学習したところで、もう一度、トピックに関するテーマでロールプレイをし、学習「目的(Can - do)」が達成できるか確認します。
全体の流れをおさらいすると「1. トピックについて話し合う」→「2. ロールプレイをやってみる」→「3. どんな表現や言葉を使えば良いか学習する」→「4. もう一度やってみる」という構成になっいます。
本書は「初級が終わった直後」であれば、少し難しい単語も出てきますが、内容としてはそれほど難しくないので、会話練習の教材としてかなり使いやすいです。
また、巻末には教案の例も載っているので、あまり会話活動をしたことがないという先生にも参考になります。
口コミ
評者は、海外校で「これから日本へ留学する学生」に向けて、この教科書で会話授業を行っていました。
概ねいい形で機能していたと感じましたが、海外校では、*生活環境が当然ながら違う
*生の日本人社会に触れていないので、必要な部分は教師の側が「事前情報」として補う必要があります。
ただ、任国の文化や気質などと比べるいい機会にもなりますので、一方的に教え込むのではなく、自国と日本とを比較・相対化するようにリードすればいいのではないでしょうか。
22題のロールプレイ(RP)を収録。ロールカード「A」「B」があり、見本の会話がCDに収録されている。
これは単なる棒読みではなく、きちんとしたそれふうの演技をしてくれていて、不自然さがない。「1」の状況設定は「クラスで自己紹介をする」。「2」は「自国の料理の作り方を教える」。
「5」は「友達を励ます・慰める」、他に「財布をなくす」「初対面の人と話す」「医者に自分の症状を説明する」
「部屋を探す」「アルバイトの求人に電話で応募する」「ゴミの出し方で怒られて謝る」「面接の練習」というように
ヴァリエーションに富み、なおかつ日常生活に即していてリアル。難しい単語は使われていないので、新語の導入は5、6語で終わる。文型導入も2つ、3つ。
最後に関連したRPのテーマがいくつかある。ひとつの課で1回の授業がカバーされている。