【書籍紹介】中級へ学ぼう 中級前期(第2版):第1版との変更点は?

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初級から中級への橋渡し教材「中級へ行こう」の続編として登場した「中級を学ぼう」。

その改訂版(第2版)が2019年3月に登場しました。

このページでは、「中級を学ぼう 中級前期」がどういった本なのか、第1版から変更された内容などを紹介していきます。



「中級を学ぼう 中級前期」ってどんな本?

中級を目指す日本語学習者を対象に「一般的な事柄や抽象的なテーマについて会話ができる」「多様な文章の読み書きができる」ことを目的として開発された本です。

第1課〜8課までの8トピックあり、各課ではテーマに関連する読み物を読んで、中級の文型や言葉・表現を学習したり、トピックについて話し合ったりします。

各課の読みものは600字程度の短いもので、かつ学生の興味を引くようなテーマも多いので学習者は飽きずに勉強することが可能です。

また「中級へ行こう」と構成が似ているので、これまで「中級へ行こう」で授業をされた先生であれば「中級を学ぼう」は使いやすいと思います。

中級を学ぼう 中級前期のトピック一覧
1. 音楽と音の効果
2. いい数字・悪い数字
3. 「面白い」日本
4. くしゃみ
5. 私の町
6. この日に食べなきゃ意味がない!
7. お相撲さんの世界
8. 第一印象
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「中級を学ぼう 中級前期」の構成

「中級を学ぼう 中級前期」は、次のような流れで構成されています。

「中級を学ぼう 中級前期」の構成
  1. 扉ページ
  2. 本文
  3. ことばを確かめよう
  4. 内容を確かめよう
  5. 学習項目
  6. 学習項目の練習
  7. チェックシート
  8. 聴解タスクシート
  9. 作文
  10. プラスアルファ

1. 扉ページ

ここではトピックのテーマに沿って、教師と学生で話し合います。

その中で、未習の語を導入したり、背景知識の活性化を行い、本文のリーディングに進みます。あらかじめ、2、3質問が用意されているので、それを活用しながら進めていくといいでしょう

2. 本文

本文は600文字程度の短い文章になります。

課のテーマに沿った文章があり、それを読んで後で登場するQAに答えたり、ディスカッションしたりします。

3. ことばを確かめよう

ここでは、「本文」に登場する単語やその単語を使った練習問題があります。

学習者のレベルが十分でない場合は、先に確認しておいたり、いくつか紹介しておいたりしておくと良いと思います。

4. 内容を確かめよう

このパートは本文に関する確認問題で、大意を問う問題と精読問題があります。

読解が弱い学生であれば、本文を読む前に質問を確認しておいてもいいかもしれません。

5. 学習項目

学習項目では、本文に登場した文型の説明が書かれています。

英語、中国語、韓国語、ベトナム語での説明もあるので、予習や復習に利用するといいでしょう。

6. 学習項目の練習

ここでは「学習項目」で登場した、文型の練習問題が用意されています。

「基本練習」→「応用練習」という流れで構成されており、時々、発展練習として短い文を読んで、意見を書いたり、短い作文を書く問題もあります。

尚、「基本練習」は答えが決まっているクローズドクエッション、「応用練習」は答えの決まっていないオープンクエッションとなっております。。

7. チェックシート

チェックシートは正しい答えを選ぶクイズで、課で登場した単語や文法に関するものです。

2択問題なので、それほど時間もとらず、まとめとして利用可能です。

8. 聴解タスクシート

聴解タスクでは、「本文」の一部が虫食いになっており、音声を聞いて答えを埋める問題と、CDを聞いて質問に答える問題があります。

9. 作文

課のテーマと関連する内容について作文を書きます。

例えば、第1課ですと、トピックが「音楽と音の効果」なので、「私の好きな歌」というてテーマで書かせたりします。

例も書いてあるので、それを参考にさせながら書かせると良いでしょう。

10. プラスアルファ

本文に関連した、新しい表現や文型などが紹介されています。

第1版からの変更点

今回の改訂により中身が大きく変わったということはないですが、「中級へ行こう 第2版」の構成にかなり近くなり、使いやすくなった印象です。

また、第1版にはなかった本文理解の問題(大意を問う問題と精読用問題)が追加されているのがとても良いと思いました。

公式サイトによると、以下が主な変更点だとのことです。

第1版からの変更点(詳細)

<主な改定点>
1.本文の一部変更
テーマはそのままに、語句や表現の変更・加筆など。

2.文型の一部変更
学習項目の内容や提出順序を整理しました。大幅な変更はありません。

3.学習項目一覧を追加
各課の扉のページの内容、学習項目、作文のテーマ、プラスアルファのテーマをまとめた一覧を追加しました。

4.課の構成を変更
【現行版】        【第2版】
◉扉のページ     ⇒ ◉扉のページ
◉本文        ⇒ ◉本文*1
◉新しいことば    ⇒ ◉ことばを確かめよう*2
◉新しいことばの練習
◉内容を確かめよう(NEW!)*3
◉学習項目      ⇒ ◉学習項目*4
文法項目の説明と例文
◉学習項目の練習   ⇒ ◉学習項目の練習*5
基本・応用練習、「読もう」「聞こう」「書こう」
◉チェックシート(NEW!)*6
◉聴解        ⇒ ◉聴解タスクシート
◉作文        ⇒ ◉作文
◉プラスアルファ   ⇒ ◉プラスアルファ
本文に関連した、より幅広い学習

ココがポイント!
*1 CDの音声は現行版の本文2回からノーマルスピード1回に変更。

*2 現行版の「新しいことば」「新しいことばの練習」をまとめ、「ことばを確かめよう」に変更。練習問題は本文の語彙に限り、より基本的な意味やコロケーションの確認に変更。現行版にある派生的な語彙の練習は、課末のプラスアルファで扱います。

*3 本文の内容を確認する「内容を確かめよう」を追加。大意を問う問題、精読用問題があります。

*4 現行版で別冊「学習項目一覧」にあった語法や文型についての簡単な説明の翻訳を「学習項目」のページに移動。

*5 「学習項目の練習」にある「読もう」を一部「聞こう」に変更し、聴解練習を増やしました。

*6 単語・文型の定着を確認する「チェックシート」の追加。1頁に10問の2択問題を収録し、5分程度で解けるようになっています。

5.ベトナム語訳を書籍へ追加
語法や文型についての簡単な説明部分と別冊の「新出語」の訳にベトナム語を追加し、4ヶ国語(英語・中国語・韓国語・ベトナム語)の翻訳が付きました。

6.巻末に「漢字練習」を追加
本書で扱う漢字のうち、N5レベルの漢字80字と『中級へ行こう日本語の表現と文型55 第2版』で学ぶ169字を既習とし、N4以上の漢字を取り上げています。 本文に登場する漢字と、その関連語の漢字練習を行い、本文をルビなしで読めることを目指して作成されました。学習漢字数は193字、1課あたりの新出漢字は20~32字、練習は30問程度です。

7.補助教材コンテンツに「教師用ガイド」と「総合問題」を掲載
①「教師用ガイド」には、課の各項目を指導する際の注意点や活動のヒント、本文を総合的に理解できているか確認するための問題サンプルを掲載。

②「総合問題」は期末試験などに使える全体の確認問題を掲載予定です。

③「CD収録の音声」をパソコンやスマホで聞くことができます。



最後に

今回は中級の総合学習書「中級を学ぼう 中級前期」を紹介しました。

「中級へ行こう」と構成がほとんど同じなので中級へ行こうユーザーにはとても使いやすくなりました。

もし、初級、初中級の授業を終えられて、これから中級を教えようと思っている方は検討してみてください。

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