【書籍紹介】日本語文法を教えるためのポイント30【初級者の間違いから学ぶ】

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「今日、友達の家に来ます。」、「財布が落としています。」、「黒板の文字が見えるために前の席に座ります。」

これらはどれも不自然な日本語ですが、私たち日本人は決してこのように間違えて使うことはありませんね。

しかし、日本語を勉強している学習者はどうでしょうか。これらの間違いは意外にも多く見られます。

では、どうしてこのような誤用が起こるのでしょうか。どうやって説明すれば、理解してもらえるのでしょうか。

そういった悩みを解決するための助けになる本が「日本語文法を教えるためのポイント30」という本でして、今回はこちらの本を紹介します。

「日本語文法を教えるためのポイント30」ってどんな本?

本書は日本語教育に携わる5名の方によって書かれた本で、日本語学習者が誤用が起こりやすい30項目をピックアップし「どうして誤用が起こるのか?」、「どう説明したら理解してもらえるのか?」がわかりやすく紹介されています。

すでに日本語を教えられていて、ある程度経験のある方でしたら、知っていることも多いかも知れませんが、初級文法の理解を深めるための1冊としてはかなりおすすめです。

本書の詳しい流れは後述しますが「誤用例の紹介」→「文型のポイント(解説)」→「導入方法(例)」→「外国語ではどういうのか?」となっております。

導入例が紹介されているので、新米教師の方には大変参考になりますね。

また、巻末には付録として学習者向けの練習問題がいくつか紹介されていたり、授業で使える絵教材なども収録されています。



本書の内容

こちらが本書で登場する内容です。

目次
  1. 「これ」「それ」「あれ」ー指示語
  2. 「行きます」「来ます」ー動詞①
  3. 「あります」「います」ー動詞②
  4. い形容詞・な形容詞 ー 形容詞①
  5. 「〜が好きです」ー 形容詞②
  6. 「あげます」「もらいます」「くれます」ー あげもらい①
  7. 「〜てあげます」「〜てもらいます」「〜てくれます」ー あげもらい②
  8. 自動詞・他動詞 ー ヴォイス①
  9. 受身 ー ヴォイス②
  10. 使役 ー ヴォイス③
  11. 普通体 ー 文体・スタイル①
  12. 尊敬語 ー 文体・スタイル②
  13. 謙譲語 ー 文体・スタイル③
  14. 「自動詞ています」「他動詞てあります」ー テンス・アスペクト①
  15. 「〜ておきます」ー テンス・アスペクト②
  16. 「〜たところ」「〜たばかり」ー テンス・アスペクト③
  17. 連体修飾 ー 従属節①
  18. 「〜と」「〜ば」「〜たら」ー 従属節②
  19. 「〜なら」ー 従属節③
  20. 「〜ように」「〜ために」ー 従属節④
  21. 「〜がほしいです」ー ムード・モダリティ①
  22. 「〜たいです」ー ムード・モダリティ②
  23. 「〜てください」ー ムード・モダリティ③
  24. 「〜んです」ー ムード・モダリティ④
  25.  様態の「そうだ」・伝聞の「そうだ」ー ムード・モダリティ⑤
  26. 「ようだ」「らしい」ー ムード・モダリティ⑥
  27. 「は」「が」ー 助詞①
  28. 場所の「に」と「で」ー 助詞②
  29. 「よ」「ね」「よね」ー 助詞③
  30. 「から」「ので」ー 助詞④

どれも初級で教える項目ですね。

全てではないですが、基本的な初級文型が用意されているので、初級文法の理解が不十分な方は参考にしてみると良いと思います。

そして、本書の構成ですが、次のようになっています。

構成
  1. 学習者の誤用例を知る
  2. 文法ごとのポイントを把握する
  3. 導入例を利用する
  4. 外国語の特徴を理解する
  5. (コラム)

1. 学習者の誤用例を知る

画像出典:日本語文法を教えるためのポイント30

文法の説明の前に、まず学習者がどういった間違いをよくするのかが紹介されています。

例えば初級初期であれば「これ」「それ」「あれ」の使い方を間違えたり、「行きます」「来ます」を使い間違えたりなどです。

学習者がよく間違えるポイントを理解しておくことで、教師はどう教えれば良いのか、もし違いを質問された時にどう対処すれば良いのか計画が立てやすいので、ポイントを把握しておくことはとても重要でしょう。

2. 文法ごとのポイントを把握する

画像出典:日本語文法を教えるためのポイント30

ここでは、その文型を教える際のポイントとなる項目について解説が書かれています。

例えば、「行きます」「来ます」は英訳すると"go"と"come"ですが、”I'm comming(今行くよ)”のように、"come"を「行く」と訳す場合もあります。

そのため、どういった違いがあるのかポイントを理解しておくと、学習者に正しい意味を教えやすくなります。

3. 導入例を利用する

画像出典:日本語文法を教えるためのポイント30

ここでは、どうやってその文型を導入すれば良いのか例が示されています。

「使える教材」も紹介されているので、どういった教具を用意すれば良いのかわかりやすいです。

新米日本語教師や経験が浅い教師の方には参考になりますし、すでに経験がある先生でも「こういった教え方もあるんだ」と発見があると思います。

4. 外国語の特徴を理解する

画像出典:日本語文法を教えるためのポイント30

その文型が外国語ではどのように訳されているのか紹介されています。

対象の外国語は「英語」、「スペイン語」、「フランス語」、「中国語」、「ベトナム語」、「モンゴル語」の6言語です。

日本国内の日本語学校であれば、中国やベトナムの学生が多いと思うので、本書の内容を理解しておくことで、「どうしてこの国の学生はよく間違えるのか」、「何か母語の影響があるのだろうか」こういったことを把握することができます。

口コミ

タイトル:実用的

先生がたの実地の経験から書かれており、とても実用的です。
2018年現在、初心者日本語教師に良いですね!

最後に

今回は初級日本語文法の理解を深めるのに役立つ本「日本語文法を教えるためのポイント30」を紹介しました。

学習者がよく間違った使い方をして困っている」、「2つの文型の違いを説明できなくて困っている」、こういった方は一読すると役に立つと思いますので、読んでみてください。

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