使用教材

中級へ行こう 日本語の文型と表現55 第2版

語彙や文法の導入

1. 話しましょう

ここでは、第10課のテーマである、「ことばの使い方」について会話をしながら、未習の語彙を導入したり、本文を読むに当たって手助けとなる情報を学習者に与えていく。

  「話しましょう」の中で全ての言葉を導入するのは時間が足りないし、難しいのと思うのでキーワードとなる言葉を導入したり、事前に単語リストを配っておくなどして、時間短縮すると良い。

ウォーミングアップ:

T:みなさん、「敬語」という言葉を知っていますか?
S:はい。
T:どんな言葉ですか。
S1:とても丁寧な言葉です。
S2:尊敬語とか謙譲語とか。
T:そうですね。前に勉強しましたね。みなさんの国には敬語がありますか。
S:ありますよ。
T:いつ使いますか?
S:日本と同じです。ビジネスや年上の人と話す時に使います。
T:そうですか。じゃあ、日本語の敬語は難しいですか。
S:はい。
T:何が難しいですか。
S:私の国の敬語はとてもシンプルです。単語を1つ増やすだけでいいですから。
S:でも、日本語の敬語は形が全然違いますから、とても複雑です。
T:そうですね。形が難しいですよね。
T:日本人も時々、敬語の文法を間違えるんですよ。
S:そうなんですか。
T:はい、どんな間違えをすると思いますか。
S:尊敬語を使う時に謙譲語を使う?
T:じゃあ、後で、文章を読みましょう。

2. ことばの練習

媒介語で未習の語彙を紹介 or 事前に宿題として意味を調べさせる。
それぞれの単語をリピート、意味を確認した後、教科書の「ことばの練習」を実施する。

単語意味
敬語honorific expression
乱れるcorrupt
感じるto feel
場 [食事の〜][eating] situation
訪ねるto visit
本来normally
変化するto change
気にするto mind
この機会にtaking this opportunity
話題topic
ロケ地loation



3. 新しい文型

T:じゃあ、本文を読む前に、新しい文型を勉強しましょう。

(1) Nによって

[意味:Nという手段や方法で〜する]
手段・方法・書き言葉として使われる。
「〜で」で置き換えが可能。

単に手段の選択を表す場合には使わない。
×毎日、自転車によって学校へ行く。
×箸でご飯を食べます。

●Nにくる言葉の例
インターネット、メール、方法、結婚、リサイクル、対話、教育、リクエスト、技術、システムなど。

[英訳]
by, through, based on N
(Used to refer to a means or method. Usually used in writing. )

[例文]
・テストの結果によって、クラスが決まる。
・毎日、早く起きることによって、体の調子がよくなってきた。
・その問題は話し合いによって、解決できると思う。
・インターネットによって、色々なビジネスができる。
・インターネットによって、どこでも映画が見られる。
・その事故によって、5人の人が亡くなった。

①導入
T:みなさん、インターネットで何ができますか。
S:Facebookができます。ネットショッピングができます。メールができます。
T:そうですね。ネットショッピングはどこでできますか。
S:どこでもできます。
T:そうですね。
S:はい。

板書
インターネットで、どこでもネットショッピングができます。

T:インターネットで、どこでもネットショッピングができます。

T:じゃあ、みなさん、今、どんな携帯電話を使っていますか。
S:i-phoneです。
T:スマホですね。(昔の携帯電話を見せて)こんな携帯を使っている人はいますか。
S:いいえ。
T:みなさん、スマホを使っていますね。じゃあ、スマホで何ができますか。
S:ゲームができます。映画が見れます。音楽が聞けます。
T:そうですね。スマホで映画が見れます。ゲームができます。音楽が聞けます。何でもできますね。
S:はい。

板書
スマホで、映画が見れます。

T:みなさん、「〜で」を初級で勉強しましたね。
S:はい。
T:他の言い方があります。

板書
インターネットで、どこでもネットショッピングができる。
→インターネットによって、どこでもネットショッピングができる。
スマホで、映画が見れます。
→スマホによって、映画が見れます。
T:インターネットによって、どこでもネットッショッピングができる。
T:スマホによって、映画が見れます。
T:「〜で」と同じ意味です。
S:違いは何ですか。
T:「〜で」は書く時によく使います。話す時はあまり使いません。
T:それから、人について話す時は使いません。
T:例えば、「自転車で学校に行きます」はいいですが、「自転車によって学校に行きます」はダメです。
T:「箸でご飯を食べます」はいいですが「箸によってご飯を食べます」はダメです。

②基本練習1:後件に来る言葉を選択する問題

③基本練習2:「〜によって」の使い方の復習

単語意味
クラス分けplacement
結果result
生き方way of life
話し合いdiscussion
送別会farewell party
分けるto divide
教授professor
通信販売mail order
食品food / foodstuff
青色LEDblue Light Emitting Diode

 

(2) Vる/Nの代わりに

[意味]
Vしないで、他のことをする。
N(人や物)ではなく他の(人や物)。

[英訳]
Instead of V
(Instead of V, do another thing / Instead of N(person or thing), another(person or thing))

[例文]
(Nのかわりに)
・今日はA先生のかわりに、私が日本語を教えます。
・バナナがなかったので、バナナのかわりにりんごを食べた。
・最近はメールのかわりに、LINEを使う人が多い。
・今日の発表はナタポンさんのかわりに、リーさんがします。

(Vるかわりに)
・最近の旅行はマイカーで行く代わりに、バスツアーに参加する人が多くなった。
・この頃、車を持つかわりに、カーシェアリングを利用する人が増えている。
・今の子供たちは、テレビを見るかわりに、Youtubeを見ているそうだ。

①導入1:Nのかわりに
T:みなさん友達とチャットしたい時、何を使いますか。
S:メッセンジャーを使います。
T:じゃあ、10年前は?
S:う〜ん、よくメールをしました。

板書
[10年前]   [今] メール      メッセンジャー(×メール)

T:今、メールがありませんか?
S:ありますよ。
T:じゃあ、どうしてメッセンジャーを使いますか。
S:メッセンジャーの方が便利ですから。
T:そうですね。
T:10年前、メールを使っていました。
T:今は、メールを使いません。メッセンジャーを使います。
T:今はメールのかわりメッセンジャーを使います。

板書
メールのかわりにメッセンジャーを使います。
T:チャットをする時、メールを使いません。メッセンジャーを使います。
T:メールのかわりにメッセンジャーを使います。です。
T:この写真を見せてください。何をしていますか。
S:働いています。何かを作っています。
T:誰が働いていますか。
S:男の人。
T:そうですね。これは15年前の写真です。
T:じゃあ、この写真を見せてください。何をしていますか?
S:何かパーツを作っています。
T:そうですね。何かのパーツを作っています。誰が作っていますか。
S:ロボットが作っています。
T:そうですね。人がいますか?
S:いません。
板書
[15年前]   [今] 人       ロボット(×人)

 

T:はい、15年前は人が作っていました。
T:今は?
S:ロボットです。
T:はい、今は人のかわりにロボットが作っています。

 

②導入2:Vかわりに
T:みなさんは、子供の時、よくテレビを見ましたか?
S:はい。
T:どんなテレビを見ましたか?
S:アニメとか。
T:そうですか。私もよくテレビを見ていました。
T:でも、最近の子どもはあまりテレビを見ないそうですよ。
S:そうですか。
T:はい、YouTubeを見るそうです。

板書
(昔の子供)    (今の子供)
テレビ       YouTube(×テレビ)

S:あ〜、私もよく見ます。
T:昔の子供はよくテレビを見ました。
T:今の子供はあまりテレビを見ません。YouTubeを見るそうです。
T:今の子供はテレビを見るかわりに、YouTubeを見るそうです。

板書
今の子供はテレビを見るかわりにYouTubeを見るそうです。

 

T:今の子供はテレビを見ないで、YouTubeを見るそうです。
T:テレビを見るかわりに、YouTubeを見るようです。です。

③基本練習:変換練習
教科書では4問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

④応用練習:文作り
教科書では3問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

⑤短作文
「公開していること / 困っていること / 残念なこと」をテーマに短作文を書かせる。

単語意味
短時間にin a short time
マイカーone's own car
バスツアーbus tour
カージェアリングcar sharing
早朝出勤するto go to work early in the morning

(3) Vてくる / Vていく

[意味]
Vてくる:Vの方向が話し手の位置に向かっている。
Vていく:Vの方向が話し手から離れていく。

[英訳]
Vてくる:Used to indicate that the direction of V is towards the speaker.
Vていく:Used to indicate that the direction of V is away from the speaker.

①導入
こちらのNIHONGO PARKさんの絵カードが大変わかりやすいと思います。

T:(絵カードを見せて)田中さんと山田さんです。二人は話していますね。何と言っていますか。
S:「この本をあそこへ。」「わかりました。」
T:そして田中さんは何をしましたか?
S:山田さんの荷物を持ちました。
T:それから?
S:机まで運びました。
T:そうですね。山田さんの荷物を持ちました。そして運びました。
T:今話している場所から、机のところへ運びました。
T:山田さんの荷物を持っていきました。です。

板書
山田さんの荷物を持ってきました。

T:じゃあ、(写真を見せて)また、二人が話しています。何と言っていますか。
S:「あの本を」、「わかりました」です。
T:そうですね。そして、山田さんは何をしましたか?
S:机に言って、本を持ちました。
T:それから?
S:田中さんのところへ戻りました。
T:机まで行って本を持ちました。そして、今話している場所へ戻りました。
T:山田さんの本を持ってきました。です。

板書
山田さんの荷物を持っていきました。

 

T:この写真をみてください。ペロという犬と田中さんです。ペロは何をしていますか。
S:走っています。
T:そうですね。走っています。どこへ?
S:田中さんのところです。
T:そうですね。田中さんは言います。ペロが走っています。私のところへ来ます。
T:ペロが走ってきます。

板書
ペロが走ってきます。

 

T:じゃあ、この写真をみてください。ペロと田中さんです。ペロは何をしていますか。
S:走っています。
T:そうですね。どこへ?
S:どこかへ。
T:そうですね。田中さんは言います。ペロが走っています。どこかへ行きます。
T:ペロが走って行きます。

板書
ペロが走っていきます。

 

T:走ってきます。話している人のところへ「走る」がきます。
T:走って行きます。話している人のところから、別のところへ「走る」が行きます。

 

②基本練習
教科書では5問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

③応用練習:文作り
教科書では2問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

単語意味
突然suddenly
花びらpetal
舞い落ちるto flutter
飛ぶto fly
気象衛星weather satelite
事実fact

 

(4)  Vべきだ

[意味]
社会の中で一般的に妥当・当然だとされることを表す。

[英訳]
should V
(Used to express an action behavior that is deemed in general appropriate or natural in society.)

[例文]
・行けなくなったら早めに連絡するべきだ。
・乗り物の中ではお年寄りに席をゆずるべきだと思う。
・動物を飼ったら最後まで世話をするべきだ。
・たくさん遊びたいなら、宿題は早く終わらせるべきだ。

①導入
T:(写真を見せて)トムさんです。トムさんは元気ですか。
S:いいえ、熱がありますね。
T:そうですね。熱があります。39度6分です。
S:えぇ、高いですね。
T:そうですね。学校を休んだほうがいいですか。
S:もちろん、休んだほうがいいですよ。
T:でも、トムさんは「学校に行きたい」と言っています。休んだ方がいいですか?
S:当たり前ですよ。熱が高いですから。
T:他の人も休んだ方がいいたと思いますか。
S:はい。
T:そうですね。熱が高いですから、絶対、休んだ方がいいですよね。
S:はい。
T:もっといい言い方があります。「トムさんは休むべきです」です。

板書
トムさんは休むべきです。

T:「休むべきです」は「休んだほうがいい」よりも強い言い方です。
T:一般的に(in general)絶対〜したほうがいいという時に使います。

T:例えば、みなさんは電車の中で、椅子に座っています。みんな座っています。もうスペースがありません。そして、80歳ぐらいのおばあさんが電車に乗って来ました。
T:どうしますか。
S:席をあげます。
T:そうですね。席をあげることを「席を譲るといいます。」
T:席を譲った方がいいですよね。
S:はい。
T:一般的に(in general)、絶対に席を譲った方がいいですよね。
S:はい。
T:みなさんは若いですから、席を譲るべきです。

T:「べきです。」の前の形はなんですか。
S:辞書形です。
T:そうですね。

T:じゃあ、(板書)ジェームさんは学生だから、もっと(     )。
T:(     )の言葉を考えてください。
S:勉強するべきだ。
T:そうですね。
T:する+べきだは2つ言い方があります。
T:「すべきだ」と「するべきだ」です。

②基本練習:変換練習
教科書では4問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

(5) 「敬語」の整理

①基本練習1:形の確認

②基本練習2:正しい形に直す練習
教科書では3問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

単語意味
預かるto keep / to receive ~ in trust
尊敬honorific
謙譲modest

(6) V(ない)ずに

[意味]
〜ないで
少し硬い言い方

[英訳]
without ~ing

①導入
T:(絵を見せて)文を作ってください。
S:砂糖を入れないでコーヒーを飲みます。
T:そうですね。もう一つ、言い方があります。
T:砂糖を入れずに、コーヒーを飲みます。

T:じゃあ、これは?
S:テレビを見ずに、勉強します。
T:いいですね。

板書
砂糖を入れずに、コーヒーを飲みます。
テレビを見ずに、勉強します。

T:「〜ずに」の前の形は何ですか?
S:ない形です。
T:じゃあ、これは?
S:宿題をしずに、ゲームをします。

T:「する」はスペシャルケースです。宿題をせずにゲームをします。です。

板書
宿題をせずにゲームをします。

T:「〜ずに」は「〜ないで」より少しフォーマルな言い方です。

②基本練習1
絵を見せて、「Vずに」を使った文を作る練習

③口頭練習

[変換練習]
T:眼鏡をかけて本を読みます。→ 眼鏡をかけずに本を読みます。
・砂糖を入れてコーヒーを飲みます。
・シートベルトをして運転します。
・電気を消して寝ます。
・辞書を使って、新聞を読みます。
・手を洗って、ご飯を食べます。
・窓を開けて、タバコを吸います。
・シャワーを浴びて、学校にいきます。
・化粧をして、学校にいきます。
・朝ごはんを食べて、学校にいきます。
・晩御飯を食べて、寝ます。
・家の鍵をかけて、出かけます。

[口頭でQ&A] ・寝る時、電気を消さずに、寝ますか。 / エアコンをつけずに寝ますか。
・コーヒーを飲む時、砂糖を入れずに飲みますか。
・学校に来る時、シャワーを浴びずに来ますか。/ 朝ごはんを食べずに学校に来ますか。
・宿題をせずに授業に来たことがありますか。どうしましたか。
・お金を持たずに、買い物に行ったことがありますか。どうしましたか。

④基本練習2:変換練習
教科書では7問用意されているので、もっと練習させたければ、追加問題を準備しておくこと。

⑤応用練習:標語作成

単語意味
模範的なmodel / pattern
私語whispering
嫌がるto hate / to mind
教科書textbook
標語slogan



本文読解

1. QAの確認

本を読む前に、 まず、QAの内容を確認する。

T:じゃあ、これからことばの使い方の文章を読みます。はじめに、プリントを配ります。1枚はことばの使い方の文章で、もう1枚は文章の問題です。
(読み物とタスクシートを配布)

T:じゃあ、最初にタスクシートを見てください。問題は3つあります。文章の質問です。みなさんには文章を読んで、答えを考えてもらいます。

2. 本文を読む

T:最初に私が文章を読みますから、みなさんは聞いてください。そしてどんな話か考えてください。私が読んだ後、みなさんが文章を読んで答えを考えます。
(教師が文章を全て読む:範読)

T:はい、今からみなさんに文章を読んでもらいます。一人で声に出さないで読んでください。文章を読みながら答えを考えて、タスクシートに書いてください。
(わからない言葉があっても、辞書は使わないで頑張って読みましょう)
S:(個々で黙読し、質問の答えを考えて書く)
T:(机間巡視)

3. ピア活動

T:では、読めましたか?みなさん、どんな話かわかりましたか?S1さんどうですか?
S1:わかりました。
T:S2さんどうですか?
S2:あまりわかりませんでした。
T:そうですか。どんなところが難しかったですか。
S2:時間が足りなかった。単語が難しかったなど。
T:そうですか。まだ、全部できていない人もいるかもしれませんが、グループで答えを考えましょう。じゃあ、これからペアを作ります。S1さんとS2さん、S3さんとS4さん、S5さんとS6さんがペアです。
S:(席を移動する)
T:じゃあ、グループの人と一緒に、どんな話だったか話してください。その後、質問の答えを相談してください。答えが同じじゃない時は、ペアで相談して答えを考えてください。
S:(ペアで答えを検討する)
T:(机間巡視)

4. 答えの確認

T:ペアでたくさん相談しましたか。それでは、一緒に答えを確認しましょう。

Sに質問文を読ませ、答えを確認する。

後作業:リスニングや作文など

1. チェックシート

2択問題。3〜5分程度で解かせて、答え合わせをする。時間がなければ宿題にしても良い。

2. 聴解タスクシート

CDを聞きながら、空欄の部分を記入させる。CDにはゆっくりしたスピードとナチュラルスピードが録音されているので、学習者のレベルに応じて選択すると良い。ゆっくりスピードでも生徒が聞き取れなければ、教師がもっとゆっくりしたスピードで読むと良いだろう。

3. シャドーイング

これは教科書にはないタスクだが、時間があれば実施する。

4. 作文

できる限り時間内に書かせて提出させる。

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