初級日本語の教科書といえば「みんなの日本語」が定番で、かつ今でも多くの学校で使われていますが、私個人としては「げんき」の方が使いやすく、教えやすいです。
そこで、このページでは「げんき」の構成やみん日と比べてどうなのかを紹介したいと思います。
学校で教科書が決まっている場合は仕方がないですが、個人で教える場合やボランティア教室などで、教科書を選べるのであれば「げんき」も選択肢の1つとして検討してみてください。
目次 [表示]
「初級日本語げんき」ってどんな本?
「げんき」は初級日本語の教科書で、国内でも使っている学校がいくつかありますが、どちらかというと海外の日本語学校で人気が高い印象です。
げんきは1と2の2冊構成なっており、げんき1がJLPTのN5レベル、げんき2がN4レベルに相当します。
各課の構成は「ダイアログ(会話)」→「単語」→「文法解説」→「文法練習 / 会話練習」→「漢字」→「読解」となっており、この教科書だけで読む・書く・話す・聞くの4技能がバランスよく学習できるようになっています。
レッスンの始めのほうでは、ひらがなの下にローマ字で読み方が書かれています。また、ダイアログの次のページには英訳も載っています。
文法説明は英語で書かれています。上の写真は「も」の説明ですが、かなり詳しく説明されていることがわかります。
漢字の練習が終わったら、読解問題です。
文章にはその課で習った漢字も登場します。
「げんき」の良いところ(みんなの日本語と比べて)
みんなの日本語と比べて良いところを箇条書きすると次のようになります。
- 文法説明が詳しい。
- 問題の指示が英語で書かれている。
- 練習問題が多い。また、バリエーションも多い。
- カジュアルな会話が多い。
1. 文法説明が詳しい
げんきの場合は説明は全て英語のみとなりますが、「みんなの日本語」よりも詳しく書かれています。
また、みんなの日本語の場合、文法説明書を別冊で買わなければいけませんがが、「げんき」の場合はこの1冊に説明も含まれているので、余計に本を買う必要がありません。
2. 問題の指示が英語で書かれている
「みんなの日本語」では練習A、B、Cがあり、それぞれにイラストや例文が書かれているだけで、何をするのかが一切指示が書かれていません。
例文を見れば、何となく何をすればいいのか予想はできますが、ちょっと利用者の視点で考えると親切さが足りないと感じます。
一方で、「げんき」の場合、全ての問題に何をすればいいのか英語での指示が書いてあるので、学習者はすべきことを理解しやすいですし、英語が苦手な教師でも指示が出しやすくなるでしょう。
3. 練習問題が多い。また、バリエーションも多い。
みんなの日本語の場合、文を変換したり、文を完成させたりする問題が多く、単調な練習が多い印象です。
もちろん「げんき」でも同じような練習がたくさんありますが、ペアで質問し合ったり、話し合うタスクもあるので、みんなの日本語よりもバリエーションが多いのが特徴です。
4. カジュアルな会話が多い
「みんなの日本語」の場合、登場人物のマイク・ミラーさんは会社員なので、フォーマルな会話が多いですが、「げんき」の場合、メインの登場人物が大学生のメアリーさん、たけしさんなので、比較的カジュアルな会話場面が多いです。
将来、日本の大学で勉強するために来日した留学生であれば、ビジネスシーンが多い「みんなの日本語」よりも「げんき」の方が良さそうですし、プライベートレッスンの場合なんかもカジュアルな場面が多い方が好まれそうな気がします。
これは個人的な意見なので、断言はできませんが、みんなの日本語は学習する人にとってはちょっと硬い印象です。
もちろん、みんなの日本語が悪いという訳ではなく、学習者の年齢や日本語を勉強する背景などを理解した上で教科書を選べば良いと思います。
「みんなの日本語」の良いところ(げんきと比べて)
良いところと言って良いのかわかりませんが、みんなの日本語の方が圧倒的に導入する文型が多いです。
例えば、JLPT N4レベルの「〜ように」や「〜あとで」といった文型はげんきには登場しないので、JLPTを受験するのであれば、追加で指導する必要があります。
最後に
今回は初級日本語「げんき」について紹介しました。
この本だけで独学も可能な優れた教科書なので、興味があればチェックしてみてください。